東鳴尾ルーテル教会

祈りの手紙

勢井姉  私たちの教会員である、S姉妹が2001年9月に日本国際飢餓対策機構(JIFH)からペルー国際飢餓対策機構(FHI/Peru)に 派遣され、ウカヤリ県(ブラジル国境沿い)、プカルパ市内の貧しい人々が住む1つの村、ロス・プロセレスで活動しています。
 ここで2人のペルー人女性スタッフと、教育支援を中心とした世界里親会の働きと共に、村の人々と共に試行錯誤しながら、村全体の発展と向上のために活動しています。 そして、あらゆる機会を通して、聖書の御言葉を述べ伝える働きをしています。
 このページでは、S姉の現地からのレターの一部をご紹介して、その活動と現地ペルー・プカルパの現状を、皆さんにも知っていただければ感謝です。


ペルー通信
祈りの手紙 第15号

 支援者の皆様、いかがお過ごしでしょうか?2006年もあと数ヶ月となりました。 今までの皆様のお祈りとご支援に心から感謝を申し上げます。日本国内には様々な問題が起こっていますが、 皆さんの心身の安全と健康が守られるようにとお祈りしています。
 さて、ペルーではアラン・ガルシアが新大統領として7月末に赴任しましたが、現在のところ心配していたような 大きな混乱やインフレにはならず、平静を保っていますので幸いです。このまま良い方向へと国民の歩みが進められれば幸いです。
 8月中にこの手紙15号の発行予定でしたが、プカルパでのワークキャンプの準備などで十分な時間が取れず、 10月号となりましたのでお詫び致します。皆様にはワークキャンプが成功の内に終るように、お祈りをお願いしましたが、 主の憐れみの中で、ワークそれ自体は無事に終りました。何と言っても参加者の皆さんの健康が守られ、 大きな事故や病気がなかったのは、大変幸いなことでしたのでお祈り感謝です。またボランティアとして参加して下さった、 お一人お一人にも神様の豊かな御祝福がありますようにと願っています。
 ではワークキャンプのことも含めて、過去6ケ月間の活動報告を敦します。

【昨年のキャンプ参加者からの贈り物】
 昨年2005年のワークキャンプはリマで行われたのですが、参加者の中に米国ロス・アンジェルス(L.A.)在住で 20代前半の3人の女性たちがいました。この3人を代表してジェイミーさんから私宛に、今年の6月頃とても嬉しい メールを受け取りました。
その内容というのは昨年、彼女たちがワークキャンプに参加する際、彼女たちが集う日系人教会から献金があり、 そのお金で村の人々のために役立てて欲しいと様々な品物を買って持ってきてくれました。
「でもまだ600ドルが残っているので、FHIの活動内で何かに役立てて欲しいが、何が良いか教えて欲しい」という 内容でした。
 その後、私とのメールのやり取りの結果、私が奉仕する村に3つの協力教会があり、それらの教会は大変に貧しいので 彼らの必要が何か調べ、その必要のために3つの教会へ200ドルずつ分かち合えればということになりました。 そこで見積もりを出してもらいました。
1つ目の教会は通路側の木材壁の張替えです。2つ目は教会堂の床が土間なので(多くの家や教会がそうです) コンクリートに張替えるためのセメントの購入です。3つ目の教会では電子オルガンを長年希望していましたので、 今迄の積み立てに200ドルを加え、さらに皆で協力して購入ができるようにしたいとのことでした。 このように結果的にはそれぞれが違ったものを希望し、ジェイミーさんたちから了解を得ることができ、 そして彼女たちからの送金を受けました。
建て替えの様子  7月28日は独立記念日でしたから前日に新しい壁、コンクリートの床などが与えられた教会堂で記念会を持つことができた ため、それぞれの教会員たちは大変喜んでいました。しかし残念ながら電子オルガンは希望の日本製の良いものがプカルパには なくリマで人に探してもらい、ようやく9月末に購入できました。FHIの様々な行事に積極的に協力してきた3つの教会が思い がけない方法で、神様の祝福を受けることができました。
 一方、ジェイミーさんたち3人は、昨年のキャンプに参加して人生観がすっかり変わったと言うことです。 大都市L.A.で殆ど何不自由もなく暮らしていた彼女たちが、リマの貧困地域でそこに住む人々と協力して一つのもの (幼稚園の改築工事でした)を作り上げていくことに大きな感動があったようです。その熱い思いを持って、今度 は私たちの村の教会に献金をしてくれました。
貧困の中に生活する人々には勿論たくさんの問題がありますが、このような人々と交わることによって初めて教えられる事柄、 彼らからでなければ学ぶことができない事柄がたくさんあります。ジェイミーさんたちだけでなく、 たくさんの人々がワークキャンプで様々なことを学んでいてくれますから幸いです。
 中途で申し訳ありませんが右の写真は献金を受けた3教会のうちの1つです。新しい木材を買って教会員で建て替えている ところです。

【本年度のワークキャンプ】
建築の様子  8月19から29日迄が今年のボランティア・ワークキャンプの期間でした。21日にリマからプカルパへ飛行機で移動し、22 ~25日の期間、私が活動するロス・プロセレス村でワークしてもらいました。今回は日本から8人、米国L.A.から2人の合 計10人の日本人チームと、現在ボリビアで奉仕している河合朝子さんが通訳として参加してくれました。2年ぶりに大勢の日 本人を村に迎えることができ、子供たちのための遊園地作りに、文字通りたくさんの汗を流してもらいました。 彼らの主な仕事は遊具の設置、外側を囲う高さ2.40mの塀のペンキ塗り(両側)などでした。そして26日の朝に遊園地で 完成式が行われました。
 まず私たちFHIスタッフ(ウイルダとエリカで3人)はワークチームが来秘する1年間ほど前に村長たちに日本からの支援で 何を希望するかと聞きました。彼らは村内の診療所作りや女性たちが製縫を学び生産できるように2台の工業用ミシンの寄付な どが挙げられましたが、それぞれに難しい問題があり理由があって叶えられませんでした。数ヶ月の検討の結果、幼児らの心身 発達のために、遊園地作りが決まり業者の選択なども始まりました。遊園地の敷地はロス・プロセレスのちょうど中央に位置す る広場内の北側に、30mx40mの大きさを確保し、滑り台2台、ブランコ2台、シーソー4台、雲梯(うんてい)2台を購入し、 また古タイヤを利用した遊具を作ることになりました。このような計画を実行に移す迄、また工事を実施に移してからでも、村 長や工事を担当する業者たちと何度も話し合いました。その度に物事はほぼスムーズに進み、今振り返ってみれば大きな問題は ありませんでしたから感謝でした。
滑り台で遊ぶ子供  でも問題と言えば、遊園地内に日陰を確保するためにアルメンドラという名前で成長の早い木を植えることに関してでした。  日本人チームが8月中頃に来ますので、その半年前には植木をして遊園地が完成した段階で子供たちが日中の厳しい暑さから守 られるようにしたいと計画していました。でも半年前には実行できず、3ヶ月前の5月末に一度、村人たちの協力で植木をしま したが、今年の雨期(1年のほぼ前半)には殆ど雨が降らないという影響のため、苗木はすぐに枯れてしまいました。再び6月 中旬に植木をして、毎日、朝と夕方の2回、水をやることに村人に努力してもらいました。日中の部屋の温度は、ほぼ33~35度 が続きましたから、カラカラの大地に植えられた木の成長は大変ゆっくりでした。でも何とか枯れないで8月迄がんばって生き てくれました。その段階では大人の膝辺りほどの高さしかありませんでした。  日本人チームが去ってからは2~3回ほどしか大した雨が降っていませんので、これからも植木が枯れないで、また子供たち に踏み潰されないように成長する迄、責任を持って見守ることがこれからの村人たちの責任です。  また、26日の朝に遊園地で完成式が行われましたが、このとき、待ちに待った公園が完成しましたので、80人ほどの親子 たちが押しかけました。そのときの勢いは、普段彼ら日本人が町の公園では決して見かけない状況でしたので、チームの人々は 「こんなにたくさんの子供たち!どこから来たんだろう。日本の公園では絶対に見かけないね」と驚いていました。(実際のところ、 近隣の村からも来ていました)
ブランコで遊ぶ子供  この時、我先にとブランコの乗る順番を争った子供が頭をブランコの角でぶつけ少しケガをしました。このような事故が起こ らないようにと管理していくことも、これから村に求められます。
 チームが去って1ヵ月後の現在の状況ですが、日中の暑さと、学校へ行くことのため、昼間、殆ど子供たちを遊園地では見か けません。でも夕方からは子供たちが公園を利用しています。普通なら家へ帰らなければならない時刻ですが、ここの状況では こうなってしまいます。2台の滑り台は子供たちが手や足を触れる部分、滑っていく部分が早くもペンキが剥がれてきています ので、ペンキが悪かったのか、あるいは、これほど子供たちがたくさん利用してくれているのかと私は驚いています。 ボランティアワークして下さったチームの方がた、お疲れさまでした。そして本当にありがとうございました。

【卒業まじかな里子のこと】
 一人の男子里子をご紹介します。現在高校5年生で最終学年、12月に卒業予定です。学校を卒業すれば里親会も卒業することに なります。彼の名前はジョン・カルロスで、何事にも積極的に取り組み、明るく、家の手伝いも良くしています。また村のコレヒ オの学年でトップの成績(前14号の突然の病気で亡くなったココ青年と競っていた)です。彼は2004年に引き続き、今年 も里子の代表としてスペイン語と日本語で日本人チームの前で挨拶をしてくれました。彼は日本語を理解できませんが、 スペイン語で言いたいことを先に書いてもらい、私が日本語に訳して、覚えてもらいました。これは初めからの彼の希望です。 そして、この用紙の約4等分ほどの日本語を1週間で覚えてしまいました。
 生まれつき才能のある青年に違いありませんが、小さな貧しい家の中に5人が住み、あの家のどこで勉強ができるのかと不思議 です。また義理の父親との難しい関係で悩むこともあります。2年ほど前のある午後、彼が制服を着て、教科書を持って授業に出 て行くのを見かけましたが、裸足でした。理由を聞くと「どこにあるのか分からない」ということでした。彼の兄か父親が履 いて出て行ったのかも分かりません。このような様々な悪条件の中でジョンは勉強を続けています。来年3月末にはプカルパで 唯一の国立大学を受験する予定です。でもどんなに成績が良くても、村に住む人々の多くの場合、資金がありませんので 4~6年間の大学に入学できるのは、残念ながら本当に難しいです。ずっと安く済む専門学校であきらめる場合が多いです。
 ちなみに昨年末に卒業した里子たちの中で、成績が良かった2人の男女も現在の段階では、希望を達することができていませ ん。男の子は試験で落ちてしまい進学をあきらめリマで働きに出ています。女の子はプカルパ市内の私立大学に合格しています が、資金がありませんので、少しずつ働いて貯めようとしています。でもいつ入学ができるのか分かりません。ジョン・カルロ はもし来年入学できなくても、いつかは実現できるという希望を持ち続けることができるでしょうか?

 【コレヒオの拡張工事が無事終了】
校舎の一部  祈りの手紙第13号から、皆様にはお祈りの課題に挙げて頂いていますが、コレヒオ(小、中、高校が一緒)の拡張工事が予 定より2ケ月遅れでようやく9月初めに終ったことをご報告致します。この間、大きな事故はありませんでした。工事関係者だ けでなく、村のボランティアで毎夜、資材などが盗まれないように見張りを続けていたことも効果があったと思います。いつの 場合でも村で積極的にボランティアする人々には本当に頭が下がります。
 完了した工事内容は通信13号の3ページの①から⑤の部分です。⑥の楽器購入はまだ先です。10月中には新しい校舎など の使用ができそうです。コレヒオができて僅か4年で地方自治からの援助があった訳ですが、普通はこのような大きな建築プロ ジェクトが短期間で実行されることはないようで大抵7~10年間後になるようです。でも皆さんのお祈りのお陰で神様の奇跡が なされたと、マルニエ校長はいつも人に語っています。彼女は「第1校舎の床を作ってくれたカナダ人の友人たちが昼間に、そ して彼らが寝ている間に、日本の人たちが起きて祈っていてくれる。つまり24時間、ずっと祈りが続けられている・・」と言っ ています。ですから彼女に代わって皆さんに感謝のことばを申し上げます。またマルニエさんの家庭の問題も神様によって解決 されますようにとお祈りをよろしくお願い致します。左は完成した校舎の一部です。